Priyaは、自分のニンニク絞り器が「garlic press」で3位にいると信じきっていました。ポートランドの自宅からノートパソコンで、この1か月ほぼ毎朝、自分の目で確かめていたからです。
ところがある日、ダラスに住む友人からスクリーンショットが届きました。同じキーワード、同じ日の午後。彼女の商品は2ページ目の31位でした。
何かが壊れていたわけではありません。Amazonは、お届け先の地域、デバイス、閲覧履歴、最寄り倉庫の在庫状況によって検索結果を出し分けています。Priyaが見ていたのは、たった1人の購入者、つまり自分自身から見た世界でした。広告予算も、入札額も、2つ目の商品の計画も、ほとんどの顧客が一度も目にしない数字の上に組み立てられていたのです。
その問題を解決するのがAmazonのキーワード順位トラッキングです。正しく運用すれば、売上を支えている検索キーワードで実際に何位にいるのか、広告が放っておいても入ってくる売上を買っていないか、あと一押しで1ページ目に届くキーワードはどれか、がわかります。この記事では、順位データの入手先、追跡すべきキーワード、数字に振り回されない読み方、そしてPPCで順位を引き上げ、その後より低いコストで維持する方法を解説します。
Amazonのキーワード順位トラッキングとは
Amazonのキーワード順位トラッキングとは、特定のキーワードでAmazonの検索結果に自社商品が何位に表示されるかを毎日記録し、その推移を追いかけることです。キーワードごとに見る数字は2つあります。
- オーガニック順位:広告ではない通常の検索結果の中での順位。Amazonのアルゴリズムが「この商品はこのくらいの位置がふさわしい」と判断している結果です。
- スポンサー順位:広告枠の中での順位。入札額、関連性、広告の質によって買っている位置です。
長い目で見て大事なのはオーガニック順位です。月30,000回検索されるキーワードでオーガニック4位にいる商品には、クリック単価ゼロで安定して売上が入ってきます。広告経由でしか表示されない商品は、そのアクセスの1件1件にお金を払うことになります。
Amazonの順位は1つに決まった数字ではなく、ばらつきのある分布です。同じキーワードで検索した10人の購入者が、それぞれ少しずつ違うページを見ていることもあります。優れた順位トラッキングはこの前提を受け入れ、1枚のスクリーンショットを信じるのではなく、何度もチェックしたうえでの「典型的な順位」を測ります。
順位トラッキングがPPCにとって重要な理由
多くのセラーは順位トラッキングをSEOの仕事だと考えています。しかし、次の3つの理由から、PPCの仕事でもあります。
1. 広告費が本当に働いている場所がわかる。あるキーワードでオーガニック2位にいながら、同じキーワードで検索結果トップの広告にもお金を払っているなら、その広告クリックの一部は広告がなくても自然検索からの売上になっていたはずです。この重なりの測り方はAmazon PPCのカニバリゼーションのガイドで解説していますが、順位データがなければそもそも測ることができません。
2. 押し上げる価値のあるキーワードがわかる。オーガニック14位のキーワードと60位のキーワードでは、チャンスの大きさがまったく違います。14位なら1ページ目まであと少しです。60位の場合は、広告予算をかける前に商品ページそのものを改善する必要があるかもしれません。
3. 損益に響く前に問題に気づける。順位は通常、売上より数日早く落ちます。競合の値下げ、商品ページの非表示、ある倉庫での在庫切れ、新しく付いた低評価レビュー。こうした変化はどれも、まず日々の順位に表れます。
順位データの入手先
セラーセントラルには「キーワードXでのオーガニック順位」をそのまま教えてくれるレポートはありません。次の4つの情報源を組み合わせて全体像をつかみます。
1. 手動での検索
ブラウザのプライベートウィンドウを開き、ログアウトした状態で、お届け先を主要都市の郵便番号に設定してから検索します。スクロールしながら順番に数えていきます。オーガニック順位を数えるときは「スポンサー」ラベルの付いた商品は飛ばしてください。
無料で、主力3キーワードをざっと確認するには便利です。ただし、トラッキングの仕組みとしては役に立ちません。1か所から1回確認しただけでは、ほとんど何もわからないからです。まさにPriyaのケースです。
2. Brand AnalyticsのSearch Query Performance
Brand Registryに登録していれば、Amazon Brand AnalyticsのSearch Query Performance(SQP)ダッシュボードで、検索クエリごとにAmazon全体のインプレッション、クリック、カート追加、購入の数と、そのうち自社ブランドが占めるシェアを確認できます。
SQPでは順位そのものはわかりません。そのかわり、ある意味ではもっと役に立つ数字がわかります。自社ブランドにトラフィックをもたらしたすべてのクエリについてのインプレッションシェアと購入シェアです。「garlic press」でのインプレッションシェアが1か月で9%から4%に落ちたなら、どの順位トラッカーが何と言おうと、露出は減っています。SQPレポートの詳しい読み方はAmazon Brand Analyticsのガイドで解説しています。
3. Sponsored Productsのレポート
広告側の順位トラッカーとして使える指標が2つあります。
- 検索結果トップのインプレッションシェア(ターゲティングレポート):そのキーワードで獲得可能だった検索結果トップのインプレッションのうち、自社広告が獲得した割合です。
- 検索語句のインプレッション順位とインプレッションシェア(検索語句レポート):特定の検索語句で、自社広告が他の広告主と比べて何番目だったかを示します。
これらがわかるのは広告枠のことだけで、オーガニックの検索結果はわかりません。それでも、順位の押し上げのためにお金を払っている露出が実際に得られているかどうかは判断できます。
4. サードパーティの順位トラッカー
Helium 10のKeyword Tracker、Jungle ScoutのRank Tracker、DataDiveといったツールは、指定したキーワードで自動的に検索を実行し(通常は1日1回から数回)、自社ASINが何位に表示されたかを記録します。
20以上のキーワードについて毎日のオーガニック順位を把握するには、現実的にはこれしか方法がありません。ただし限界もあります。1回のチェックは、ある1か所にいる仮想の購入者1人分の結果にすぎません。同じ日でもツールによって数位ずれることはよくあります。数字は絶対的な正解ではなく、トレンドを見るためのものとして扱いましょう。
| 情報源 | 測れるもの | コスト | 向いている用途 | 主な限界 |
|---|---|---|---|---|
| 手動検索 | 検索結果の1つの見え方 | 無料 | ざっとした確認 | 1か所・1時点のみ |
| Brand Analytics SQP | クエリごとのインプレッション・クリック・購入シェア | Brand Registry登録で無料 | 需要に対する実際のシェア | 週次または月次、順位は出ない |
| Sponsored Productsのレポート | 広告のインプレッションシェアと広告順位 | 無料 | 広告での露出 | 広告枠のみ |
| サードパーティのトラッカー | 毎日のオーガニック順位とスポンサー順位 | 月$30〜$300 | キーワードごとの日次トレンド | シミュレーションで、地域に左右される |
最も確実なのは、このうち2つを組み合わせる方法です。日々のトレンドはサードパーティのトラッカーで追い、月に1回SQPで実態と照らし合わせます。
どのキーワードを追跡すべきか
400キーワードを追跡すると、しっかり管理している気分にはなれます。しかし、生まれるのはほとんどがノイズです。1商品あたり15〜30キーワードで十分で、次の4つのグループに分けます。
- 売上の柱になるキーワード(3〜5個)。検索ボリュームが最も大きく、関連性も最も高いキーワードです。売上の大部分をもたらすので、毎日チェックする価値があります。
- 押し上げ候補(5〜10個)。関連性が高く、オーガニック8位〜30位にいるキーワードです。順位を押し上げる最大のチャンスです。
- コンバージョンの高いロングテール(5〜10個)。コンバージョン率の高い具体的な検索で、キーワードハーベスティングのプロセスから拾うことが多いものです。少ないコストで上位を取れ、より広いキーワードの順位を後押ししてくれることもよくあります。
- 自社ブランド名と競合ブランド名(2〜5個)。自社のブランド名と主要競合のブランド名です。自社ブランドの検索で他社に抜かれ始めたら、すぐ気づけるようにします。
キーワードは勘ではなく根拠で選びましょう。頼りになるのは、検索語句レポート(注文が発生している語句)、SQPダッシュボード(すでに購入につながっているクエリ)、そしてトップ競合に対するリバースASIN検索です。
順位データに振り回されない読み方
日々の順位はそのままだと大きく上下します。こちらが何も変えていなくても、4日間で6位、11位、5位、9位と動くことは珍しくありません。シグナルとノイズを見分けるコツは次のとおりです。
7日間の平均で見る。今日の数字ではなく、週の平均で判断します。平均12位から平均7位への変化は本物です。1日だけ3位になったのは本物ではありません。
細かい順位より、ページの境目を見る。意味があるのは、2ページ目から1ページ目に上がること、そしてモバイルでページの中ほどから最上段に上がることです。23位から19位に上がってもほとんど何も変わりません。11位から4位に上がれば、そのキーワードからのトラフィックが倍になることもあります。
同じキーワードの順位と売上を突き合わせる。順位が上がっているのにSQPの購入シェアが横ばいなら、トラッカーが特殊な地域から計測していないか、あるいはそのキーワード自体のコンバージョンが悪いだけではないかを確認します。
何でも記録に残す。価格変更、クーポンの開始、在庫切れ、商品ページの編集、入札の変更を、順位と同じタイムライン上に書き込んでおきます。メモがなければ、3週間後にはなぜ順位が動いたのか思い出せません。
プロのヒント:すべてのキーワードで一斉に順位が落ちたときは、原因がキーワード単位にあることはまずありません。まず商品ページを確認しましょう。在庫、カート獲得(Buy Box)、価格、画像の非表示、新しい星1つのレビュー。1つのキーワードだけで順位が落ちたときは、そのキーワードの競合状況と、そのキーワードでの自社広告の露出を確認します。
PPCがオーガニック順位を動かす仕組み
Amazonはランキングの計算式を公開していませんし、広告枠に表示されたからといってオーガニック順位が直接変わるわけでもありません。Amazonが評価するのは販売実績です。あるキーワードで、競合と比べて頻繁にクリックされ購入されている商品は、オーガニック順位が上がっていく傾向があります。ランキング要因の全体像はAmazon SEOのガイドで解説しています。
キーワード単位の売上を作るいちばん速い方法が広告です。購入者が「garlic press」で検索し、あなたの広告をクリックして購入すると、Amazonはその検索でのあなたのASINの購入として記録します。これを継続していくと、オーガニックのアルゴリズムはあなたの商品を「garlic press」の有力な検索結果として扱い始めます。
だからこそ、取り組む順番が重要になります。
- まず商品ページが売れる状態であること。競合のコンバージョン率が14%なのに、6%の商品ページにトラフィックを流し込めば、Amazonに「この商品は弱い検索結果だ」と学習させることになります。押し上げに予算をかける前に、画像、価格、レビューを整えましょう。
- キーワードの関連性が高いこと。関連性の薄いキーワードで順位を押し上げようとしても、お金が消えるだけで、順位はほとんど定着しません。
- 売上が安定して続くこと。5日間だけ大量に広告費を使い、その後ぱったりやめると、順位は一時的に上がってもすぐ元に戻りがちです。
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順位押し上げの実践手順
1つのキーワードについて、私たちが実際に使っている手順を紹介します。
ステップ1:キーワードを選ぶ
押し上げ候補の中から1つ選びます。関連性が高く、現在オーガニック8位〜30位にあり、狙う価値があるだけの検索ボリュームがあるキーワードです。SQPレポートで、そのキーワードの月間購入数の合計を確認しておきます。
ステップ2:必要な1日あたりの売上を見積もる
大まかな目安として、1ページ目の順位を維持するには、狙う順位の周辺にいる商品と同じくらいのキーワード単位の売上が必要です。SQPでそのキーワードの月間購入数が3,000件、そのほとんどを上位8商品が取っているとすれば、6位の商品はその検索から1日8〜12件売れているかもしれません。これがあなたの目標になります。
ステップ3:専用の完全一致キャンペーンを作る
1キーワード、完全一致で、専用の予算を持つ単独のキャンペーンにします。購入者が購入を決めるのは検索結果トップなので、検索結果トップの掲載枠に入札調整を設定します。調整幅の決め方は掲載枠のガイドで解説しています。
ステップ4:期間を決めて高めのACoSを受け入れる
順位の押し上げ中は、通常の目標ACoSを上回ります。終わりの日付さえ決まっていれば、それは失敗ではなく投資です。押し上げ全体の予算上限(例:14日間で$1,500)と、ACoSの上限(例:通常の目標が25%なら45%)を決めておきましょう。
ステップ5:10〜14日間続け、7日間平均を見る
7日たっても7日間平均の順位が改善していなければ、いったん止めて原因を探ります。たいていの原因は、コンバージョン率、価格、あるいは思っていたより関連性の低いキーワードです。
ステップ6:いきなり止めず、段階的に下げる
1ページ目を1週間キープできたら、順位を見ながら数日ごとに入札額を10〜15%ずつ下げていきます。目指すのは、オーガニック順位を安定して保てる最小の広告費を見つけることです。一晩で広告をゼロにするのは、順位が元に戻ってしまういちばんよくある原因です。
💡 Daniks.AIの強み:Growthプランでは、スペシャルACoSルールを使って、特定のキーワード1つだけに専用の高い目標ACoSを設定する「ブースト」ができます。アカウントの他のキーワードは通常の目標のままです。押し上げが終わったらルールを削除するだけで、オートパイロットが入札を自動で通常の目標まで戻していきます。
3人のセラー、3つの順位の悩み
Marcus:うまくいった押し上げ。Marcusは厚さ6mmのTPE製ヨガマットを販売しています。「thick yoga mat」(月間検索数は約22,000回)でオーガニック17位でした。商品ページのコンバージョン率は13%で、カテゴリー平均を上回っていました。ACoS上限40%で完全一致キャンペーンを1つだけ14日間回し、使ったのは$1,180。7日間平均の順位は17位から6位に上がりました。その後3週間で入札額を40%下げましたが、順位は5位〜8位をキープ。そのキーワードからのオーガニック売上で、押し上げにかけた費用は1か月もかからず回収できました。
Lena:キーワードとは関係なかった順位の下落。LenaはAmazon.deでシリコン製のベーキングマットを販売しています。ある週、追跡している18キーワードすべてで順位が一斉に落ちました。彼女は2日間入札額を上げ続けたあとで、2つのフルフィルメントセンターでFBA在庫が切れていたことに気づきます。そのせいで、ドイツの広い地域の購入者に対してお届け予定日が遅く表示されていたのです。在庫の配置が戻ると、入札には一切手を触れないまま順位も回復しました。在庫の問題がなぜ広告と順位に同時に響くのかは、在庫管理のガイドで解説しています。
Daniel:やるべきではなかった押し上げ。Danielは$34のスマホスタンドを「phone stand」で1ページ目に押し上げようとしました。ところが、上位10商品の価格は$12〜$18。3週間で$2,400を使い、ACoSは70%を超えました。順位は44位から29位に上がったものの、広告を止めると数日で元に戻りました。キーワードの関連性は高かったのですが、価格差が大きすぎて、購入者はクリックしても買わずに離れていったのです。その後彼は、「aluminum phone stand for desk」という、より小さく、価格が購入者の想定に合うキーワードで1ページ目に入ることができました。
順位トラッキングでよくある失敗
- 1か所の結果を信じる。ニューヨークとモンタナの田舎町では、順位が20位も違うことがあります。主要な市場から計測し、SQPで裏付けを取りましょう。
- 追跡するキーワードが多すぎる。400キーワードを追うと、結局どれも見なくなります。1商品あたり15〜30キーワードに絞り、毎週見直しましょう。
- 日々の上下に反応する。1日悪かったからといってトレンドではありません。7日間平均を使いましょう。
- 商品ページの準備ができる前に押し上げる。押し上げはコンバージョン率を良くも悪くも増幅します。まずリテールレディネスのチェックを済ませましょう。
- 広告をいつまでも引き下げない。オーガニック2位をキープしているのに、検索結果トップの広告に満額を払い続けていると、放っておいても入る売上にお金を払っている可能性があります。入札を下げてテストし、順位とTACoSの両方を確認しましょう。
よくある質問
Amazonのキーワード順位はどのくらいの頻度で確認すべきですか?
順位トラッカーには毎日チェックさせ、数字の見直しは7日間平均を使って週1回行うのがおすすめです。毎日見ていると、通常のノイズに過剰反応してしまいます。
Amazonのキーワード順位は無料で追跡できますか?
一部は可能です。プライベートウィンドウでの手動検索、Brand AnalyticsのSQPダッシュボード、Sponsored Productsのレポートはすべて無料です。ただし、多数のキーワードで毎日のオーガニック順位を追うには有料のトラッカーが必要です。
Amazon PPCでオーガニック順位は上がりますか?
直接は上がりません。広告枠に表示されること自体はオーガニック順位にカウントされません。ただし、あるキーワードで広告から生まれた売上は、そのキーワードでの販売実績に加算されます。そして販売実績は、オーガニック順位を決める最も強いシグナルの1つです。
Amazonで1ページ目に入るまでどのくらいかかりますか?
関連性の高いキーワードで、商品ページのコンバージョン率がカテゴリー平均以上なら、集中的に押し上げると7〜14日で変化が見えることがよくあります。競争の激しいキーワードでは数か月かかることもあり、そもそも追いかける価値がない場合もあります。
自分で見た順位とトラッカーの順位が違うのはなぜですか?
Amazonは、お届け先の地域、デバイス、閲覧履歴、在庫状況によって検索結果を出し分けています。トラッカーはある1か所の仮想の地域から、あなたは自分のいる場所から確認しています。どちらも正しい可能性があります。
まとめ
Amazonのキーワード順位トラッキングは、数字を追いかけることが目的ではありません。実際の購入者から見て自社がどこにいるのかを把握し、順位が動くところには広告費をかけ、すでに勝っているところでは引き下げるためのものです。まずは1商品あたり15〜30キーワードを毎日追跡し、週1回7日間平均で見直し、月に1回SQPのインプレッションシェアと購入シェアでトレンドを確かめましょう。そのうえで押し上げ候補を1つ選び、予算と終了日を決めた専用の完全一致キャンペーンで押し上げ、1ページ目をキープできたらゆっくり入札を下げていきます。
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