Martaが売っているのは作業現場の消耗品です。ニトリル手袋、ウエス、結束バンド。地味な商品、健全な利益率、安定した広告。セラーセントラルのB2B Centralは一度も開いたことがありませんでした。自分は一般消費者に売っている、と思い込んでいたからです。
そこでレポートを引いてみました。直近90日の販売個数のうち22%が法人バイヤーへ流れていた。その注文の平均個数は4.1個、一般消費者側は1.3個。彼女はとっくにAmazon Businessの出品者だったのです。ただ、そういう価格設定をしていなかった。そういう入札もしていなかった。そして、そこに置かれたまま待っていた手数料の割引を、一円も回収していませんでした。
これが普通の状態です。Amazon Businessは「オンにするチャネル」ではありません。既存の商品ページをすでに通過している買い手のセグメントであり、ほとんどの出品者はそこを見たことがない。この記事では、自分のB2B比率を見つける方法、利益を差し出さずにその層向けに値付けする方法、そしてほぼ誰もやっていない一手——法人バイヤーに狙って広告を出す方法を扱います。
Amazon Businessとは実際のところ何なのか
Amazon Businessはアマゾンの調達マーケットプレイスです。同じカタログ、同じカート(Buy Box)、同じ広告。違うのは、買い手が法人アカウントで会社のお金を使って購入している点だけです。
規模は誤差では済みません。Amazon Adsによれば、Amazon Businessは2025年に年換算で600億ドルの総流通額に達し、世界で1,100万の組織に利用されています。Fortune 500のうち484社も含まれます。買い手は病院、学校法人、施工業者、歯科医院、そして8台の車両を抱える会社の備品を発注している担当者です。
何をするにも、まず2点を押さえてください。
- 大口出品(プロフェッショナル)アカウントが必要です(月額39.99ドル+通常の販売手数料)。小口出品からはいつでも切り替えられます。
- Amazon Business専用の登録料はなく、別のストアを作る必要もありません。既存のASINはすでに法人バイヤーから見えています。B2B向けの機能はセラーセントラルのメインメニュー内、B2B Centralにあります。
この最後の一点こそ、多くのお金がテーブルに置き去りにされる理由です。壊れているものが何もないので、誰も調べに行かない。
ステップ1:いまのB2B比率を突き止める
この3つの数字を知るまで、価格は1つも触らないでください。直近90日で引きます。
- 販売個数に占めるB2B比率。販売個数の何%が法人バイヤー向けでしたか。5%未満なら副業レベル。15%超なら、B2B戦略なしでB2B事業を回している状態です。
- B2Bと一般消費者の平均注文サイズの差。金額ではなく1注文あたりの個数で見ます。数量割引を正当化するのはこの数字です。
- ASIN別のB2B比率。均等に分布することは絶対にありません。Martaの手袋は41%がB2B、自社ブランドの洗浄剤は4%でした。この2つのASINには、まったく別の扱いが必要です。
最初の2つはB2B Centralの法人売上レポートで見つかります。手間をかける価値があるのは3つ目です。どの5〜6個のASINにフル装備の施策を投じ、どれは触らずに置くべきかを教えてくれます。
ASINをB2B比率の高い順に並べ替えてください。その上位が、以下すべての作業対象になります。
法人バイヤーはユニットエコノミクスをどう変えるか
アマゾン自身のデータによれば、法人バイヤーの行動は2点で異なり、どちらも出品者に有利です。1注文あたりの購入個数が70%多く、返品される注文が50%少ない。
2つ目をもう一度読んでください。返品は利益の静かな殺し屋です。返品処理手数料、再販不能在庫、返金をめぐるやり取り。売上の一部について返品率が半分になるのは、本当の意味でお金になります。しかもPPCのダッシュボードには決して現れません。
さらに手数料の側でも、出品者に有利な変更があり、多くの人がそれを見落としています。
まとめ買い注文の手数料割引
通常価格に対して3%以上の法人価格または数量割引を提供すると、法人注文は手数料の減額対象になります。
- FBA配送手数料の割引:法人顧客が2個以上購入した場合、小型・大型標準サイズ商品で1個あたり0.37〜1.17ドルの節約になり、数量が増えるほど割引も大きくなります。
- 販売手数料の割引:単一商品で1,000ドル超の法人注文では、注文金額が上がるほど手数料率が下がり、最低5%まで下がります。FBAでも自己発送でも適用されます。
この仕組みは腹に落としておく価値があります。アマゾンは、あなたが値引きすることに対して対価を払っている。3%の法人割引は入場券で、複数個注文で得られる手数料の軽減は、差し出した3%を上回ることがよくあります。自社商品でこの比較をしたことがないなら、Amazon FBA手数料の完全分解に、正しく計算するための1個あたりの手数料構造がまとまっています。
実務のヒント:喜ぶ前にしきい値を確認してください。2.9%の法人割引では何も解除されません。「だいたい3%」ではなく、ちょうど3%に設定し、価格を変更するたびに通常価格と突き合わせて確認してください。
法人価格が売上に与える影響
2024年の出品者パフォーマンスに関する、アマゾンのBusiness Discount Insightsのデータです。
- 法人価格を設定した商品は、平均で売上が10%増
- 数量割引を設定した商品は、売上が20%増、販売個数が25%増
これは巨大なカタログ全体の平均であって、あなたのASINへの保証ではありません。ただ方向性は一貫していますし、割引を決めるのはあなたなので、下振れは限定的です。
利益を差し出さずにB2B価格を設定する
実際に打ち手を規定しているルールはこれです。
- 法人価格は通常価格より低くする必要があります。数量割引のみを適用する場合は、通常価格と同額でも構いません。
- 1商品につき最大5段階の数量割引を設定できます。
- 価格変更が購入者に表示されるまで最大15分かかります。
- 設定は在庫管理画面から行います。手作業ではなくルールに任せたい場合は、自動価格設定のルールでも可能です。
落とし穴は一律の値引きです。カタログ全体の法人価格から5%引いて終わりにするやり方。これでは、もともと通常価格で取れていた1個単位の法人注文の利益を差し出すだけです。
段階を作ってください。数量1では何も譲らない。数量2では、手数料割引を解除する3%のしきい値をちょうど超える分だけ譲る。そこから先は、手数料の軽減と配送効率が本当に元を取れる領域でだけ、思い切って踏み込みます。
| 数量 | 通常価格からの割引 | この段階の理由 |
|---|---|---|
| 1 | 0% | 通常価格。この注文はもともと取れていた。 |
| 2-5 | 3% | まとめ買い手数料割引を解除するしきい値をちょうど超える。 |
| 6-11 | 6% | 手数料の軽減に加え、6回ではなく1回の獲得で済む。 |
| 12-23 | 9% | ケース単位の領域。配送効率が改善する。 |
| 24+ | 12% | 数量に本当に余力があるASINにだけ使う。 |
価格24ドル、1個あたりの限界利益7.10ドルの商品にこの構造を当てはめると、数量6の段階はこうなります。割引で1個あたり1.44ドルを譲り、FBA手数料の軽減で1個あたり約0.60ドルを取り戻し、そして6個を1注文で動かした。6回に分かれた獲得を待ち、そのたびに広告費を払う代わりに、です。
この最後の部分こそが本題であり、広告が関わってくるところです。
Amazon Businessの買い手に広告を出す
ここが空白地帯です。B2B価格まで設定した出品者でも、次の一手——法人バイヤーに狙って広告を出すこと——はほとんど踏みません。アマゾンはそのための道を3つ用意しています。
1. B2B専用キャンペーン
法人バイヤーにのみ表示されるスポンサープロダクト広告やスポンサーブランド広告のキャンペーンを作成できます。アマゾンによれば、これを実施した広告主は、同じ商品を扱う既存キャンペーンと比べてAmazon Businessの売上が120%増加しました。
B2B比率が高い上位ASINで得られる、最大の一手です。最も成果の良いキャンペーンを複製し、法人バイヤー限定にして、専用の予算と専用のACoS目標を与えてください。下の計算が示すとおり、このキャンペーンは別の目標を許容できます。
レポートもきれいです。キャンペーンが法人バイヤーにしか配信されない以上、そこにある指標はすべてB2Bの指標です。絞り込みも、アトリビューションの推測も要りません。
2. 法人向け掲載枠の入札調整
両方の層に売れる商品——つまりほとんどの商品——には、別キャンペーンは不要です。既存の一般消費者向けスポンサープロダクトキャンペーンの中で、掲載枠の入札調整を使って法人の買い物客に対してだけ入札を引き上げることができます。
そのうえでAmazon Business掲載枠レポートを引いてください(キャンペーンを開き、入札調整をクリックし、Amazon Business掲載枠のタブを選択)。Amazon Adsで最も使われていないレポートです。キャンペーンごとに、法人バイヤーがあなたの広告に対して何をしているかを教えてくれます。専用のB2Bキャンペーンに踏み切る前に必要な、その根拠になります。
3. Amazon DSPのB2Bオーディエンス
DSPを運用しているなら、国によって60以上のB2Bオーディエンスが利用でき、業種・企業規模・支出行動でセグメントされています。キャンペーン単位のレポートで、オーディエンス別の売上を分解できます。
Amazon Business広告は11か国(米国、カナダ、メキシコ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本、インド、オーストラリア)で利用でき、出品者でなくても出稿できます。
なぜB2Bは「許容できるACoS」を変えるのか
入札の考え方を変えるべき理由が、ここにあります。
ACoSは広告費を売上で割った値です。同じクリックがより大きな注文を生むなら、同じ広告費でより多くの売上が買えるので、そのクリックのACoSは、こちらが何も工夫しなくても下がります。ここがまだ手に馴染んでいないなら、Amazon ACoS完全ガイドから始めてください。
Dmitriは業務用の延長コードを売っています。彼の数字です。
- 一般消費者の注文:1.2個、平均注文額31ドル
- 法人の注文:4.4個、平均注文額102ドル
- 限界利益率:原価・販売手数料・FBA手数料を引いた後で売上の31%
- 平均CPC:0.94ドル、コンバージョン率9%
1注文あたりのコストは両者で同じです。コンバージョン率9%なら、1注文を生むのにおよそ10.44ドルの広告費。ところが:
- 一般消費者の注文では、売上31ドルに対して10.44ドルなのでACoSは33.7%。損益分岐は31%。水面下です。
- 法人の注文では、売上102ドルに対して10.44ドルなのでACoSは10.2%。損益分岐は同じ31%。余裕で黒字、しかも入札を上げる余地まであります。
同じキーワード。同じクリック。同じ商品。収益性は3倍。違いは「誰がクリックしたか」だけです。
だからこそ、アカウント全体の混合ACoS目標は機会を覆い隠します。Dmitriのトラフィックの20%が法人バイヤーなら、混合ACoSは28%に見える。損益分岐より下、技術的には問題なし、アラートも鳴りません。しかしその平均の内側では、注文の80%で損を出し、黒字の20%では入札を大きく抑えすぎている。この問題をアカウント単位で見るための指標がまさにTACoSであり、B2Bセグメントを伸ばすときに追うべき数字です。
解決策に奇をてらう要素はありません。セグメントを分けて、それぞれに専用の目標を持たせるだけです。B2B専用キャンペーンは攻めのACoS目標で勝ちにいく入札をし、一般消費者向けキャンペーンは損益分岐を本当に超える目標で抑える。
💡 Daniks.AIの強み:法人の購買には季節性があります。調達サイクルと期末が動かすので、3月に設定した目標は9月には合いません。Daniks.AIは各キャンペーンをそれぞれのACoS目標に張り付かせ、24時間体制で入札を調整します。25%のB2Bキャンペーンと18%の一般消費者向けキャンペーンが、毎月入札表を作り直さなくても、設定した位置にとどまります。
法人限定オファー、梱包階層、認証
さらに4つの機能。それぞれ計画に1行ずつ書く価値があります。
- 法人限定オファー。特定の在庫や特定のASINを法人バイヤー専用にできます。一般消費者にバラで買われたくないケース商品に有効ですし、B2B側で大きく値引きしながら一般消費者向けの価格帯を守るのにも使えます。
- 梱包階層。単品・ケース・パレットを、バラバラの商品ページではなく、ひとつの構造として設定します。48個入りを売っても6個入りを食い合わないのは、これがあるからです。
- 多様性・品質に関する認証。取得済みの認証をプロフィールに登録すると、Amazon Businessの購買体験の各所に表示されます。官公庁・教育・医療の法人バイヤーの多くは、サプライヤーの多様性目標を課されています。アマゾンは認証取得を手伝ってはくれません。自分で取得して、アップロードします。すでに要件を満たしているなら、これは「あなたを見つける義務がある買い手」の前に無料で優先表示されるということです。
- 見積もり管理。法人バイヤーは大口注文について見積もりを依頼でき、セラーセントラルで対応します。これはインバウンドのリードとして扱ってください。実際そのものだからです。
一般消費者側から引き継がれるものが1つあります。カートを取れていなければ、ここまでの話は何も機能しません。法人バイヤーが見るおすすめ出品も他の人と同じであり、カートを取れていない出品に数量割引を付けても効果はゼロです。主力のB2B ASINでカート獲得率が不安定なら、まずそこを直してください。Amazonカート獲得(Buy Box)ガイドで打ち手を扱っています。
30日間の導入プラン
1週目 — 測る。直近90日の、販売個数に占めるB2B比率、B2B注文あたりの個数、ASIN別B2B比率を引きます。ASINを並べ替え、上位5つを選びます。
2週目 — 値付け。その5つのASINに法人価格と段階的な数量割引を設定し、数量2で3%を超えるようにします。公開前に、各段階の限界利益を確認してください。15分待って、価格が表示されることを確認します。
3週目 — 広告を測る。該当ASINを扱うキャンペーンで法人向け掲載枠の入札調整をオンにし、Amazon Business掲載枠レポートの蓄積を始めます。新しいキャンペーンはまだ作らないこと。まず2週間分のデータを取ります。入札を動かす前に検索用語レポートを読むのと同じ規律です。勘ではなくデータで決めます。
4週目 — 分ける。法人向け掲載枠レポートでコンバージョンや注文サイズが明確に良いASINについては、専用の予算と専用のACoS目標を持つB2B専用スポンサープロダクトキャンペーンを立ち上げます。一般消費者向けキャンペーンはそのままにしておきます。
継続。B2B比率は毎月見直します。認証は取得のたびに追加します。数量の段階は四半期ごとに再検討してください。手数料構造が変われば、前四半期に妥当だった段階が今期は妥当でなくなります。
注意:攻めのクーポンやセールの上にB2B数量割引を重ねるときは、必ず計算し直してください。割引は出品者が思うより速く積み上がり、単独では問題なかった段階が、組み合わせると赤字になることがあります。クーポンとセールの実践ガイドに、実コストの計算がまとまっています。
よくある質問
Amazon Businessで売ると追加費用がかかりますか?
かかりません。専用のプログラム料金はありません。必要なのは大口出品アカウント(月額39.99ドル)で、これは多くの出品者がすでに持っています。あとは通常の販売手数料とFBA手数料で、条件を満たす法人注文では割引されることも多いです。
Amazon Businessで売るにはブランド登録が必要ですか?
不要です。B2B価格、数量割引、法人限定オファーは、大口出品者なら誰でも使えます。ブランド登録が必要なのはスポンサーブランド広告なので、広告の選択肢の一部は制限されますが、B2Bの価格設定機能はどれも制限されません。
法人価格は一般消費者向けの売上を食いますか?
法人価格は認証済みの法人アカウントにしか表示されないため、一般の買い物客が目にすることはありません。本当のカニバリのリスクは、少ない数量に対して段階を攻めすぎることです。2個なら通常価格で買っていた法人バイヤーに、割引が渡ってしまう。意味のある割引は数量3以上から始めてください。
広告レポートでB2Bの成果はどう見ますか?
2通りあります。両方の層に配信しているキャンペーンでは、キャンペーンの入札調整設定にあるAmazon Business掲載枠レポートを使います。B2B専用キャンペーンなら、キャンペーン内の数字はすべて最初からB2Bだけです。
出品者としてAmazon Business Primeを管理する必要はありますか?
ありません。Business Primeは買い手側のサブスクリプションで、組織に無料配送と支出分析を提供するものです。あなたが購入することも管理することもありません。関係するのは文脈としてだけです。Business Prime会員はB2B買い手の中でも購入頻度と数量が最も高い層であり、彼らがPrime対象として目にするのはFBAの出品です。
どのくらいのB2B比率から取り組む価値がありますか?
法人バイヤーが販売個数の5%未満なら、主力ASINに法人価格を設定してそこで止めて構いません。5〜15%なら掲載枠の入札調整を追加します。15%超なら、専用のB2Bキャンペーンを含めてフル装備で回してください。
まとめ
あなたはおそらく、すでにAmazon Businessの出品者です。問題は、そのように振る舞っているかどうかです。
重要な打ち手は3つ、この順番です。ASIN別にB2B比率を測る。主力のB2B商品で3%のしきい値を超える段階的な数量割引を設定する。そして広告で法人トラフィックを切り分け、その経済性に見合ったACoS目標を与える。法人バイヤーは購入個数が多く、返品がはるかに少なく、手数料の割引まで付いてくる。つまり、一般消費者のクリックでは赤字になる同じキーワードが、あなたのアカウントで最も利益の出るクリックのひとつになり得るということです。
ここに書いたことは、新しい商品も、新しいブランドも、新しいマーケットプレイスも必要としません。必要なのは、一度も開いたことのないレポートを開き、すでにいる顧客に向けて値付けすることだけです。Martaは20分で自分の答えを見つけました。あなたも見つけてください。
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Daniks.AIはキャンペーンごとのACoS目標を24時間体制で維持します。B2Bキャンペーンは攻めの入札を、一般消費者向けキャンペーンは引き締めた運用を。毎週入札表を作り直す必要はありません。
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