マーカスは、勝ち目のない入札競争に6週間を費やしました。
ステンレス製のドリップケトルのACoSが、1か月で21%から38%に上がっていました。彼は多くのセラーと同じことをします。入札を下げたのです。ACoSは高いまま、売上だけが落ちました。戻すと、ACoSはさらに上がりました。除外キーワードを足し、広告グループを組み直し、固定入札に切り替えました。数字は動きません。
そこで彼は、2年間まったく見ていなかったレポートを開きました。セッション数は横ばい。ところが転換率が14.2%から8.9%に落ちていました。競合が6ドル安く出してきており、ページビューの31%でカートボックスを失い、広告のクリックはすべて、急に売れなくなった商品ページに着地していたのです。
問題は入札ではありませんでした。広告は正常でした。商品ページが転換しなくなっていたのです。それは、どんな入札でも直せません。
そのレポートが Amazonビジネスレポート です。広告コンソールからメニュー1つ分の距離にあるセラーセントラルのデータで、広告レポートには答えられない問い、すなわちクリックのあとに何が起きたのかに答えてくれます。本記事では、どのビジネスレポートが重要か、各列が実際に何を測っているのか、入札の問題か商品ページの問題かを見分ける1つの計算、そしてマーカスの6週間を繰り返さないための週次ルーティンを解説します。
Amazonビジネスレポートとは
ビジネスレポートは、セラーセントラル内のトラフィックと売上のダッシュボードで、レポート → ビジネスレポート にあります(Amazon公式のヘルプページにすべてのビューが載っています)。対象はカタログ全体で、自然流入と広告流入をまとめて、任意の期間で見られます。
ここが決定的な違いで、多くのセラーは逆に理解しています。広告レポートはAmazon広告コンソールにあり、広告トラフィックだけを記述します。インプレッション、クリック、広告費、紐づけ売上です。ビジネスレポートはセラーセントラルにあり、買い物客がどこから来たかに関係なく、商品ページへのすべてのトラフィックを記述します。
一方は「何を買ったか」、もう一方は「何が得られたか」を教えてくれます。
| 広告レポート | ビジネスレポート | |
|---|---|---|
| 場所 | Amazon広告コンソール | セラーセントラル → レポート |
| 対象トラフィック | 広告クリックのみ | 自然 + 広告 + 外部 |
| 中心指標 | クリック、広告費、ACoS | セッション、転換率 |
| 答える問い | 広告は機能したか | 商品ページは機能したか |
| ブランド登録の要否 | 不要 | 不要 |
| データ反映の遅れ | 最大12時間 | 最大48時間 |
これを見るのに、ブランド登録もプラン変更も外部ツールも要りません。大口出品アカウントなら、すでにそこにあります。広告側の対になる解説は、本当に重要なAmazon広告レポートをご覧ください。
重要なビジネスレポート
サイドバーには十数種類のレポートが並びます。実務で効くのは4つで、残りは同じデータの期間違いです。
1. 子商品別 詳細ページ 売上・トラフィック
ここに住み込むべきレポートです。子ASIN、つまり買い物客が実際に購入するバリエーションごとに1行で、セッション、ページビュー、カートボックス獲得率、注文個数、転換率、売上が並びます。
広告に関わることはすべて子商品ビューで見てください。キャンペーンはASIN単位で動きますが、親商品の行は、売れ筋の「ブラックMサイズ」と死んでいる「オレンジXXL」を平均してしまいます。その平均が、あなたの探している問題をちょうど覆い隠します。
2. 親商品別 詳細ページ 売上・トラフィック
列は同じで、親単位に集約されています。用途は1つだけ、商品ファミリー全体が伸びているか縮んでいるかの判断です。親子バリエーションを扱うなら、戦略は親で読み、診断は子で行います。
3. 売上・トラフィック ビジネスレポート
アカウント全体の日次合計です。これがトレンドライン、つまり注文商品売上高、総セッション、平均転換率、平均販売価格になります。前月比の確認と、TACoSの計算に使ってください。TACoSに必要なのは紐づけ売上ではなく総売上です。
4. 出品者パフォーマンス
注文不良率、キャンセル率、出荷遅延率。トラフィックのレポートではありませんが、月に一度は見る価値があります。これらの数字はアカウントヘルスに流れ込み、間接的にカートボックス獲得率にも影響するからです。
各列が実際に意味するもの
列名は一見わかりやすいのですが、いくつかはそうではなく、読み違えると高くつきます。
セッション。 24時間の枠内での商品ページ訪問です。1日に4回ページを見た買い物客は1セッション。翌日また来れば2セッション目になります。セッションは「何人がこの商品を検討したか」に最も近い、手に入る代理指標です。
セッション率。 アカウント全体のセッションに占めるそのASINの割合。ほぼ役に立ちません。無視してください。
ページビュー。 同一セッション内の再表示も含む、総ページ読み込み数です。冒頭のマーカスは1セッションあたり4ページビューでした。熱心さのようにも聞こえますが、たいていは自社ページと競合ページを行き来して比較されている状態です。
セッションあたりページビュー。 標準の列ではなく、自分で計算します。ページビュー ÷ セッション。1.5未満なら正常。検討型の商品で2.5を超えるなら、買い物客は迷っています。多くは価格か、見つけられない仕様が原因です。
おすすめ出品(カートボックス)獲得率。 ページビューのうち、あなたがカートボックスを取れていた割合です。この列は静かに広告アカウントを壊します。カートボックスを失うと、そのASINのスポンサープロダクト広告は完全に配信停止になります。警告はありません。インプレッションが崖のように落ち、レポート上はトラフィック減少に見えます。奪い返す手立てはカートボックスのガイドで詳しく扱っています。
注文個数。 注文数ではなく個数です。3個買った買い物客は、3個かつ1注文として数えられます。
ユニットセッション率。 注文個数 ÷ セッション。これが転換率であり、広告を回している人にとってセラーセントラルで最も重要な数字です。Amazonの命名は最悪ですが、指標自体は最高です。
注文品目合計。 個数ではなく注文数です。注文個数と比べれば「1注文あたり個数」が出ます。客単価を動かす目立たないレバーです。
注文商品売上高。 注文時点の売上で、返品前・返金前・手数料前の数字です。ビジネスレポートは常に決済レポートより見栄えがします。バグではありませんが、この数字で利益計算をしてはいけません。
プロのヒント: ユニットセッション率が100%を超えるのはエラーではありません。1セッションで複数個が売れたとき、あるいは後日の訪問での注文がAmazonによって遡って紐づけられたときに起こります。セッションの少ないASINでは大きく振れます。期間内のセッションが100未満のASINからは結論を出さないでください。
1つの計算:入札の問題か、商品ページの問題か
このレポートがすべてのPPC業務に入るべき理由が、ここにあります。
ACoSは3つの入力でできています。クリック単価、転換率、価格です。
ACoS = CPC ÷ (転換率 × 価格)
CPCは広告コンソールが、転換率はビジネスレポートが教えてくれます。入札で動かせるのは、このうち片方だけです。
42ドルのケトルで計算してみます。
| シナリオ | CPC | 転換率 | ACoS |
|---|---|---|---|
| 基準 | $1.18 | 14.2% | 19.8% |
| CPCが25%上昇 | $1.48 | 14.2% | 24.8% |
| 転換率が8.9%に低下 | $1.18 | 8.9% | 31.6% |
CPCが25%上がると、ACoSは5ポイント悪化します。転換率が14.2%から8.9%に崩れると、12ポイント近く悪化します。マーカスは、完全に2列目にある問題を直そうとして入札を下げ続けていました。しかも入札を下げるたびにインプレッションが減り、セッションが減り、事態は悪化していったのです。
ですから入札に触る前に、レポートに2つ質問してください。
- セッションは落ちているか。 セッションが落ち、転換率が保たれているなら、トラフィックの問題です。カートボックス喪失、順位低下、競合の入札、予算上限のいずれか。入札と予算の調整が正しい対応です。
- ユニットセッション率は落ちているか。 セッションが保たれ、転換率が落ちているなら、商品ページの問題です。価格、レビュー、画像、在庫状況、新しい競合。入札では直りません。強気に入札しても、転換しないクリックを増やすだけです。
30日間を抽出し、その前の30日間と比べ、転換率の下落幅が大きいASIN順に並べてください。その並び順が、修正の優先リストです。犯人のページが特定できたあと何を直すかは、リテールレディネスのチェックリストで順を追って説明しています。
この診断を毎週手作業でやりたくないなら、まさにその穴を埋めるために作られたのが Daniks.AI です。転換データと広告データを一緒に見て、商品ページが転換しなくなったときに自動で入札を引き戻します。14日間の無料トライアルはクレジットカード不要です。
セッションと広告クリックが一致しない理由
両方のレポートを開き、クリック2,400に対しセッション1,900を見て、何か壊れていると思う人がいます。壊れていません。計測しているものが違うだけです。
- セッションは重複排除され、クリックはされない。 午後に3回広告をクリックした買い物客は、3クリックで1セッションです。
- セッションは全員を含む。 自然検索、Amazon Posts、Google広告、メルマガのリンク。すべてセッションであり、広告クリックはゼロです。
- 計測の枠が違う。 セッションはマーケットプレイスのタイムゾーンで24時間の訪問枠、広告レポートは独自のアトリビューション期間を使います。
- すべてのクリックがページに到達するわけではない。 無効トラフィックはセッションから除外されますが、生のクリック数には残ることがあります。
有益なのは一致させることではなく、割ることです。広告クリック ÷ セッション が有料トラフィック比率になります。セッションの70%が広告由来なら、自然流入のエンジンが弱く、ACoSに逃げ場はありません。15%なら、広告はすでに機能している商品ページを補強しているので、発見系キーワードにもっと強気に入札できます。この比率をASINごとに毎月追うのは、無料でできる健康診断として非常に優秀です。
週20分のルーティン
ダッシュボードは要りません。必要なのは、繰り返せる抽出作業です。
月曜、20分:
- 子商品別 詳細ページ 売上・トラフィックを開き、期間を直近7日間にします。
- CSVをダウンロードします。毎週やってください。画面上の履歴は限られており、自分の保存データが、他の誰も持たないトレンドデータになります。
- セッションの降順に並べます。上位10 ASINに、意味のある意思決定はすべて詰まっています。
- それぞれのユニットセッション率を前週と比べます。2ポイント以上下がったものに印を付けます。
- おすすめ出品獲得率を確認します。90%未満なら漏れが進行中、70%未満なら直るまでそのASINの広告を停止します。
- 印を付けたASINは、実際のページを開きます。価格が変わった?バリエーションが落ちた?競合の広告が自分のページに出ている?レビュー平均が下がった?
- ここまで終えてから、広告コンソールを開きます。
月初の月曜、15分:
- 前月まるごとの売上・トラフィックレポートを抽出し、注文商品売上高の合計を記録します。
- 広告費の合計をその数字で割ります。これがTACoSで、広告が事業を伸ばしているのか、売上を借りているだけなのかを教えてくれます。
- 主要ASINごとに有料トラフィック比率(広告クリック ÷ セッション)を計算します。
ペット用グルーミング用品を売るアリシアは、まさにこのルーティンを回し、3週目に1年間見落としていたことに気づきました。主力のスリッカーブラシは平日の転換率が19%、週末は11%だったのです。週末だけ競合が定期的にクーポンを出していました。彼女は入札を1つも変えず、クーポンの出し方を合わせただけで、全体のACoSが4ポイント下がりました。
週20分は大した時間ではありません。ASIN 40個と12か月を掛けるまでは。表計算なしで診断結果だけ欲しいセラーは、Daniks.AI を自動運転にしています。目標ACoSを一度設定すれば、AIが最新の転換データに基づいて入札、予算、除外キーワード、キーワード収集を24時間体制で処理します。
レポートに騙される5つの間違い
1. 親商品のデータでASIN単位の判断をする。 親の行は、売れ筋と死んだバリエーションを平均し、どちらも説明しない数字を作ります。診断は必ず子商品で。
2. B2Bの切り替えを忘れる。 Amazonビジネスで販売している場合、これらのレポートにはB2Bビューがあります。B2Bで絞った期間と全トラフィックの期間を比べて「転換率が崩壊した」と誤解しがちです。どちらの表示かを確認してください。
3. 少ないサンプルを信じる。 セッション40で転換率25%のASINは何も語りません。あと10セッションで半分になり得ます。転換率で動く前に、期間内100セッションという下限を決めてください。
4. ずれた期間を比較する。 ビジネスレポートはマーケットプレイスの現地時間を使い、広告コンソールは別のタイムゾーン設定かもしれません。「月曜の急落」の正体は、たいていタイムゾーンの境目です。半端な日ではなく、丸1週間で比べてください。
5. 注文商品売上高で利益計算をする。 返品前・返金前・手数料前の売上です。本当のユニットエコノミクスには決済レポートとFBA手数料の構造が必要です。
ビジネスレポートとブランド分析の違い
ブランド登録をしていれば、ブランド分析も使えます。この2つは頻繁に混同されます。
ビジネスレポートが教えるのは、商品ページで何が起きたか。何人来て、何人買ったかです。買い物客が何を検索したかは教えてくれません。
ブランド分析、とくにSearch Query Performanceが教えるのは検索語側です。自社ASINがどの検索に表示され、そこでのインプレッション、クリック、購入のシェアがどれだけかがわかります。こちらはブランド登録が必要です。
両方そろって初めてループが閉じます。ブランド分析で「クリックは多いが購入が少ない検索語」が見つかり、ビジネスレポートで「セッションは来たが転換しなかった」ことが確認できる。これは商品ページの修正案件で、しかもそれを裏づける検索語が手元にあります。ブランド分析のガイドでシェアギャップ監査を詳しく解説しています。
💡 Daniks.AIの強み: ほとんどの入札自動化は広告データしか読みません。つまり転換率が崩れた直後のASINにも、平然と入札を上げてしまいます。Daniks.AIはセラーセントラルのトラフィックデータをキャンペーンデータと一緒に取り込むため、ユニットセッション率が下がれば、売れなくなった商品ページを追いかけるのではなく入札を下げます。
よくある質問
Amazonビジネスレポートとは何ですか?
セラーセントラルの「レポート → ビジネスレポート」にあるトラフィックと売上のダッシュボードです。ASINごとのセッション、ページビュー、カートボックス獲得率、注文個数、転換率、売上を表示し、広告だけでなくすべての流入元を対象とします。
ユニットセッション率はどのくらいが良いですか?
多くのカテゴリーは10%から15%に収まります。消耗品や低価格のリピート商品は20-30%になることも珍しくありません。150ドルを超える検討型商品は5-8%が一般的です。意味のある基準はカテゴリー平均ではなく、自分のASINの推移です。
セッションとページビューの違いは?
セッションは24時間枠内のユニーク訪問、ページビューは同一セッション内の再表示も含むすべての読み込みです。セッションあたり2.5ページビューを超えるなら、たいてい他の選択肢と比較されています。
データはどれくらいの頻度で更新されますか?
Amazonはおよそ24時間ごとに更新し、48時間ほどで数字が落ち着きます。昨日の数字に反応しないでください。まだ不完全です。
ビジネスレポートにPPC経由の売上は含まれますか?
含まれます。ビジネスレポートは広告と自然をまとめて、すべてのトラフィックと注文を対象にします。広告だけを切り出すには、広告コンソールのレポートと検索用語レポートが必要です。
APIでビジネスレポートを取得できますか?
できます。Selling Partner APIのレポートエンドポイントを使います。GET_SALES_AND_TRAFFIC_REPORTタイプが同じデータをプログラムから返します。自動化ツールが転換率を読む仕組みがこれです。
売上が支払いレポートと一致しないのはなぜ?
注文商品売上高は注文時点の売上で、返品・返金・プロモーション・手数料を差し引く前の数字です。支払いレポートは実際に精算された金額です。差が出るのは正常で、返品率の高いカテゴリーほど広がります。
前年同期比に足るだけ過去データは残りますか?
画面上の保持期間は限られており、Amazonは年々短くしてきました。毎週CSVを書き出してください。自分の保存データだけが、信頼できる長期履歴になります。
まとめ
広告コンソールは、いくら使ったかを教えてくれます。Amazonビジネスレポートは、それで何を買えたかを教えてくれます。
前者しか見ないセラーは、入札では手の届かない問題に対して入札を触り続けることになります。失ったカートボックス、競合に下げられた価格、じわじわ落ちるレビュー平均、静かに転換しなくなった商品ページ。週に20分セラーセントラルを見るだけで、そうした見えない問題の多くは、実際に処理できる優先順位付きのリストに変わります。
月曜から始めてください。子商品レポートを抽出し、セッション順に並べ、転換率を前週と比べる。そのリストの上位にあるASINこそ、次の4ポイントのACoS改善が隠れている場所です。
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