Marcoは同じ商品を、あえて90日間ふたつの方法で売り分けた。
彼が扱うのは4kgの鋳鉄ダッチオーブン、価格は89ドル。在庫の半分はFBAでAmazonの倉庫に置き、残り半分は自宅から車で20分の80平米の倉庫からFBMで発送した。価格も写真も同じ、広告キャンペーンも同じ親ASINに向けたままだ。
FBAは412個売れた。FBMは71個だった。
圧勝に見えるが、2つの列を並べると話が変わる。FBAの1個あたり手残りは、すべての手数料を引いて11.20ドル。FBMは19.60ドルだった。重い箱を運ぶのに地場の運送会社へ6.40ドル払っていて、Amazonに12.80ドル払っていないからだ。FBAは4,614ドル、FBMは6分の1の販売数で1,391ドルを稼いだ。
では、どちらが勝ったのか。きれいには決着しない。そしてこれが、たいていのAmazon FBA vs FBM比較記事が避ける正直な答えだ。結論が美しくまとまらないからである。
本当の問いは「どちらの配送方法が優れているか」ではない。この特定のASINにとって、この重量・この価格・この販売スピードで、そして自分の手間をどこまで注ぎ込む気があるかを踏まえて、どちらが良いかである。答えは商品ごとに変わり、販売数が倍になればまた変わる。
自分のカタログでこれを出す方法を説明する。
FBAとFBMの実際の中身
FBA(Fulfilled by Amazon)は、在庫をAmazonの物流ネットワークに納品する方式だ。保管、ピッキング、梱包、発送、カスタマーサービス、返品処理までAmazonが担う。商品ページには自動でPrimeマークが付く。
FBM(Fulfilled by Merchant)はMFN(Merchant Fulfilled Network)とも呼ばれ、在庫は手元に残る。注文が入ったら自分でピッキングし、梱包し、ラベルを買い、発送する。顧客からのメールも返品対応も自分の仕事だ。
ここまでは教科書どおりで、多くのガイドはここで終わる。もっと重要なのは、それぞれのモデルが次の3つに何をするかだ。1個あたりの利益、カート(Buy Box)の獲得力、そして資金の回転である。
販売手数料はどちらも同じで、誰が箱を送ろうとAmazonは売上の8-17%を取る。それ以外はすべて違う。
手数料の計算を横並びで
ひとつの商品を、両方のモデルで正直に計算してみる。重さ1kgのキッチンツール、25 x 18 x 10cm、価格34.99ドル、仕入原価8.50ドル。
| 項目 | FBA | FBM |
|---|---|---|
| 販売価格 | 34.99ドル | 34.99ドル |
| 販売手数料(15%) | 5.25ドル | 5.25ドル |
| 配送代行手数料 | 6.15ドル | 0ドル |
| 出荷送料(自己負担) | 0ドル | 7.90ドル |
| 梱包資材 | 0ドル | 0.65ドル |
| 月額保管料(按分) | 0.28ドル | 0.11ドル |
| ピッキング・梱包の人件費 | 0ドル | 1.40ドル |
| 返品処理(平均) | 0.85ドル | 0.55ドル |
| 仕入原価 | 8.50ドル | 8.50ドル |
| 1個あたり手残り | 13.96ドル | 10.63ドル |
この商品ではFBAが1個あたり3.33ドル勝つ。しかも僅差ではない。小さく軽く回転の速い商品におけるAmazonの交渉済み配送料率は、正直かなり手強い。1.5kg以下の商品を健全な回転で売っているなら、FBAが正しいデフォルトだ。
では変数をひとつ変える。Marcoの4kg・89ドルのダッチオーブンにしてみよう。
| 項目 | FBA | FBM |
|---|---|---|
| 販売価格 | 89.00ドル | 89.00ドル |
| 販売手数料(15%) | 13.35ドル | 13.35ドル |
| 配送代行手数料 | 12.80ドル | 0ドル |
| 出荷送料(自己負担) | 0ドル | 6.40ドル |
| 梱包資材 | 0ドル | 1.10ドル |
| 月額保管料(按分) | 1.35ドル | 0.40ドル |
| ピッキング・梱包の人件費 | 0ドル | 2.10ドル |
| 返品処理(平均) | 2.10ドル | 1.15ドル |
| 仕入原価 | 38.20ドル | 38.20ドル |
| 1個あたり手残り | 21.20ドル | 26.30ドル |
同じセラー、同じアカウント、正反対の結論だ。重量と容積がすべてを決めている。Amazonの配送代行手数料はサイズ区分に応じて急激に上がるが、地場運送会社との契約や定額サービスの上がり方はずっと緩やかだ。カテゴリーと交渉済み料率にもよるが、だいたい1kgから3kgのどこかで線が交差する。
1個あたりの正確な手数料構造をまだ把握していないなら、判断の前に必ず洗い出してほしい。Amazon FBA手数料の完全分解で全項目とつまずきどころを扱っているし、Amazonも Seller Central 内のFBA手数料一覧で最新料率を公開している。
ポイント:この表はカタログ平均ではなく、売上上位10 ASINで作ること。平均値は、あなたの利益からAmazonの倉庫網を静かに支えている重量商品2つを覆い隠す。
FBAが本当に強い場面
PrimeマークとBuy Box
多くのセラーにとって手数料計算より重い論点であり、実際そのとおりだ。FBAの商品ページには自動でPrimeマークが付く。同じ商品でも、Prime会員の転換率は非Prime出品より明確に高く、AmazonのBuy Boxアルゴリズムは配送方法を重く見ている。
FBM出品でもカートは取れるが、ハンデを背負う。約束できる納期が遅く、Primeマークがなく、Amazonが自社倉庫ほど信用していない出品者実績しかない。実務上は、同じカート獲得率を保つためにFBA勢より5-12%安く売ることになりがちで、さきほど計算した手数料の節約分は消えてしまう。仕組みが曖昧なら、Buy Boxガイドで重みづけを詳しく解説している。
人を増やさずに拡大できる
MarcoのFBMチャネルは90日で71個。週におよそ6時間、ピッキングと梱包とラベル購入に費やした計算だ。400個ならパート従業員1人、2,000個なら倉庫責任者とシフト、そして彼がやりたくない二つ目の事業がまるごと必要になる。
FBAが本当に売っているのは配送ではない。販売数が3倍になってもユニットエコノミクスが変わらない、という事実だ。ほとんどの人にとって、それは1個あたり数ドルの価値がある。
カスタマーサービスと返品
「注文はどこですか」というメール、返金の判断、返品の物流をAmazonが引き受ける。FBMではそのすべてが自分の受信箱に届き、対応を誤れば注文不良率(Order Defect Rate)に響く。このコストはセラーが例外なく過小評価し、実際に経験してから気づく。
マルチチャネルフルフィルメント
Shopify、eBay、自社サイトでも売っているなら、FBA在庫はマルチチャネルフルフィルメント経由でそれらの注文も処理できる。在庫はひとつ、販売チャネルは複数。FBMはもともとその柔軟性を持つが、すでに倉庫を回している場合に限る。
FBMが本当に強い場面
- 重量物・かさばる商品・低利益率の商品:おおむね2.5kg超、大型サイズ、価格に対して容積が大きいもの。FBAの手数料区分はまさにこの層を狙い撃ちする。
- 回転の遅い在庫:Amazonは容積あたりで月額保管料を取り、在庫が181日と271日を超えると付加料金が跳ね上がる。さらに長期在庫のペナルティも重なる。月8個しか売れず1年寝ている商品は、利益より保管料のほうが積み上がることがある。
- ハンドメイド・カスタム・壊れ物・規制品:名入れ、受注生産、冷蔵、危険物など、Amazonの倉庫がきれいに扱えないもの。ここではFBMは選択肢ではなく唯一の道だ。
- 資金繰りのコントロール:FBAは遠い倉庫に現金を寝かせる。FBMなら在庫を手元に置き、注文が入ってから出せる。与信枠ではなく手元資金で成長を回すセラーには、この差は机上の話ではない。
- 新商品のテスト:未検証のSKUをFBMで出せば、納品を確定させずに需要を検証できる。外れても手元に箱が残るだけで、返送手数料を払う羽目にはならない。
テスト商品の見込みが立てば、FBAへの切り替えは難しくない。その後の発注計算は在庫管理ガイドで扱っている。
Seller Fulfilled Prime:第三の選択肢
Seller Fulfilled Prime(SFP)は、多くのセラーが存在を忘れているハイブリッドだ。自社倉庫から発送しながらPrimeマークを表示できる。ただしAmazonの基準を満たせれば、の話だ。
その基準は厳しい。試用期間を通過し、大半の注文を期日どおりに発送し、週末の集荷と配達に対応し、ほぼすべての注文でAmazonのBuy Shippingを使い、キャンセル率を0.5%未満に保つ必要がある。最新の要件はAmazonのSeller Fulfilled Primeページで公開されている。
SFPが合うのは特定のプロフィールだけだ。重量物や大型商品を扱い、実際の物流インフラをすでに持ち、この運用規律を正当化できる出荷量がある人。当てはまるならSFPはFBMのコスト構造とFBAの転換率を同時に手に入れられる。当てはまらないなら、試用期間が短期間かつ高い授業料でそれを教えてくれる。
💡 Daniks.AIの強み:Daniks.AIは広告売上だけでなく、ASINごとの実際の収益性を読む。だから重量商品をFBAからFBMに切り替えて利益率が6ポイント上がったとき、目標値の更新を思い出すのを待たずに入札が自動で追随する。
誰もつなげない話:配送方法が損益分岐点ACoSを動かす
ここでFBAとFBMの判断は、物流の問題であることをやめ、広告の問題になる。
損益分岐点ACoSとは、広告費を引く前の利益率そのものだ。利益率30%で売っているなら、ACoS 30%でちょうどトントン。20%なら、20%を超えた時点で赤字である。
配送方法はその利益率を動かし、利益率は入札の上限すべてを動かす。
再びMarcoのダッチオーブンで見る。FBAでは89ドルの売上に対し手残り21.20ドル、利益率23.8%、つまり損益分岐点ACoSは23.8%。FBMでは手残り26.30ドル、利益率29.5%、分岐点は29.5%まで上がる。
これは丸め誤差ではない。同じキーワードに対して、FBM出品はおよそ24%高く入札しても利益が出るということだ。競争の激しいオークションでは、これは検索上位表示と2ページ目の差になる。
逆方向も同じだ。「手数料を節約する」ために軽量商品をFBAからFBMに移し、逆に1個あたり3ドルの利益を失ったセラーは、損益分岐点ACoSを気づかないうちに9ポイント下げている。目標ACoSを動かさなければ、広告コンソール上では問題なく見える商品ページで、全キャンペーンが赤字を垂れ流すことになる。
ここから3つのルールが出てくる。
- SKUの配送方法を変えたら、そのたびに目標ACoSを計算し直す。来四半期ではなく、その週に。
- FBAとFBMが混在するカタログに、単一の目標ACoSを設定しない。利益率が9ポイント違う2商品には2つの目標が必要で、ポートフォリオ単位の設定は必ず一方で入札しすぎ、もう一方で入札不足になる。
- 手数料の値上げをACoSの変化として扱う。1月にAmazonが配送料を上げれば、あなたが何を調整しようとしまいと、その日すべてのFBA SKUで損益分岐点ACoSは下がっている。
前回の手数料改定以降、目標値を見直していないなら、AmazonでACoSを下げる方法が最短の入口になる。
10分で回せる判断フレーム
任意のASINを取り、順番に答えていく。
- 重さとサイズ区分は?1kg未満の小型標準ならFBAをデフォルトに。2.5kg超または大型なら、FBMの計算を真剣にやる。
- どれくらいの速さで売れる?月30個超ならFBAの回転と保管効率がたいてい勝つ。月10個未満なら保管料に食われているので、FBMを検討。
- 広告前の利益率は?25%未満なら手数料1ドルが効いてくるので、重量物ではFBMを真剣に見る価値がある。40%超ならFBAの手軽さは安い保険だ。
- 本当に毎回期日どおりに出荷できる?出荷遅延率4%超、キャンセル率2.5%超はカートを失い、やがてアカウントヘルスを損なう。
- カートは争われている?自社ブランドの商品ページで唯一の出品者なら、FBMのハンデはほぼ関係ない。共有ASINで6社の転売業者と戦っているなら、FBAはほぼ必須だ。
- 商品に何か特殊な事情は?壊れ物、カスタム、危険物、大型、温度管理、販売時点でのセット組み。それならFBM一択。
6つともきれいにFBAと出れば、判断は済んでいる。答えが割れる場合は、たいていハイブリッド構成が向いている。
両方回す:確立したセラーが行き着くハイブリッド
カタログ全体でどちらか一方を選ぶ必要はない。7桁規模のセラーの多くは両方を回しており、分け方はたいていこうなる。
- FBA:小さく軽く速く売れる商品。実績のある勝ち筋。競争のある商品ページにあるものすべて。
- FBM:重量物、回転の遅い商品、大型SKU、テスト中の新商品。
- 同一ASINで両方:FBAを主力オファーにし、FBAが在庫切れになったときに需要を拾うバックアップとしてFBMを置く。
最後のパターンは過小評価されている。FBAオファーの後ろにFBMオファーを置いておけば、在庫切れで失うのは順位だけで、商品ページごと止まることはない。販売速度は途切れず、自然順位は空白期間を生き延び、広告キャンペーンを止めて組み直す必要もない。
アウトドア用品を3つのサイズ帯で売るDanaは、まさにこれをやっている。500gのヘッドランプはFBA専用、10kgのテントはFBM専用。中量級の寝袋はFBAにFBMのバックアップを付けている。昨年9月、FBAの補充が入荷待ちの列で2週間止まったとき、FBMオファーが180件の注文を拾った。放っておけばゼロだった注文だ。キーワード順位は一度も落ちなかった。
注意:同じASINにFBAオファーがある状態で、送料を吸収するためにFBMオファーを高値に設定すると、カートの取り合いが起き、自分の価格ルールも混乱する。FBMの価格は片手間ではなく、意図をもって設定すること。
実際にお金を失う5つのミス
- 配送代行手数料と送料だけを比べて終わる。梱包、人件費、保管、返品はすべて実コストだ。MarcoのFBMの数字が成立したのは、自分の時間をタダ扱いせず1個あたり2.10ドルの人件費を数えたからである。
- 返品率の差を無視する。FBAの返品は購入者にとって摩擦がないぶん、件数が増える。カテゴリーによっては、同一商品でFBAの返品率がFBMより数ポイント高い。
- カタログ全体を一度に切り替える。まず2〜3 SKUを動かし、60日回して実際の入金データで比べる。Marcoの90日テストはコストゼロで、どんな表計算より多くを教えてくれた。
- FBMが納期の約束を変えることを忘れる。出荷作業日数5日の設定は購入者に遅いお届け日を見せ、遅いお届け日は転換率を下げる。FBMにするなら出荷作業日数は1日に詰める。
- 切り替え後に広告の目標値を放置する。このリストで最も高くつくミスだ。見えないからである。実際の1注文あたり利益は動いているのに、コンソールはいつもと同じACoSを表示し続ける。
予算が限られているなら、切り替えたばかりのSKUに広告費を増やす前に少額予算でのAmazon PPCのメモを読んでおくといい。
よくある質問
FBAとFBM、どちらが儲かる?
ほぼ完全に重量と販売スピード次第だ。1kg程度未満で月30個以上売れる商品なら、全コスト差し引き後はたいていFBAのほうが儲かる。2.5kg超、あるいは月10個未満しか動かない商品なら、FBMのほうが1個あたり手残りが多いことが多い。自分の実数で両方の手数料を計算してから決めること。
FBAとFBMは同時に使える?
使える。ASINごとに配送方法を変えることもできるし、同じASINにFBAとFBMの両方のオファーを出すこともできる。確立したセラーの多くは、FBAオファーの後ろにFBMを在庫切れ用のバックアップとして残している。
FBMはカート獲得に不利?
不利にはなるが、不可能ではない。FBAオファーはPrimeマークと速い約束納期の分、Amazonの重みづけで有利だ。FBMセラーが競うには、より良い価格、確かな各種指標、短い出荷作業日数が必要になる。あるいはSeller Fulfilled Primeだ。
FBM出品にPrimeマークは付く?
Seller Fulfilled Prime経由でのみ付く。試用期間の通過と、配送・週末出荷・キャンセル率の厳しい基準の充足が必要だ。通常のFBM出品にPrimeマークは表示されない。
FBAからFBMへの切り替え方は?
Seller Centralでオファーを編集し、配送チャネルを「この商品は自分で出荷する」に変更する。すでにAmazonの倉庫にある在庫は、先に返送または所有権の放棄の依頼が必要で、それ自体に1個あたりの手数料がかかる。補充の途中ではなく、在庫が自然に少なくなるタイミングに合わせて切り替えること。
新規セラーにはFBMのほうがいい?
テスト目的ならそうであることが多い。FBMなら納品を確定させず、売れるか分からない在庫の保管料も払わずに商品を検証できる。需要が証明できたら、FBAへの移行は簡単だ。
結論
Amazon FBA対FBMの議論に万能の勝者はいない。ひとつの答えを売り込んでくる相手は、何かを売っているのだと思っていい。
軽く、速く売れ、競争のある商品ではFBAが勝つ。Primeマークと手離れした拡張性が手数料より価値を持つからだ。重く、遅く、大型で、扱いが特殊な商品ではFBMが勝つ。Amazonの手数料区分が割に合わなくなり、あなたに確実に出荷する運用規律があるからだ。現実のカタログの大半は、両方を必要とする。
正解を選ぶこと以上に大事なのは、この選択が倉庫の外まで届くと覚えておくことだ。商品が購入者に届く経路を変えるたびに、その商品が稼ぐ額が変わる。そして稼ぐ額が、広告がどこまで強く入札できるかを決めている。
MarcoはダッチオーブンをそのままFBMに残し、軽い調理器具をFBAへ移した。そのうえで、多くのセラーが飛ばす工程をやった。2つのグループに別々のACoS目標を設定したのだ。広告費の合計は11%増え、利益は34%増えた。
配送の判断が彼を半分まで運び、入札の判断が残りを運んだ。
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Daniks.AIは商品ごとに目標ACoSを設定して維持します。SKUがAmazonの倉庫から出ようと自社倉庫から出ようと、入札は実際の利益率に追随します。
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